<腰椎の内視鏡手術>

 

 内視鏡下ヘルニア摘出術(MED) ・ 内視鏡下椎弓切除術(MEL)

 

腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症が主な適応ですが、変性すべり症や分離すべり症などでも適応できる場合があります。

 

内視鏡と言えば胃カメラや腹腔鏡手術などを連想されると思いますが、脊椎の内視鏡は少し違います。

通常は体内に存在する空間に内視鏡を挿入して検査や手術を行いますが、脊椎にはそのような空間はないため、円筒形の筒を筋肉の間から挿入して、その中で手術を行います。 先端に小型のハイビジョンカメラを置き、手術器械もこの筒から挿入して操作します。 現在使用している筒の直径が16mmですから、皮膚切開は2cm弱でよい訳です。

もともとはヘルニアを摘出する為に開発された器械ですが、現在では脊柱管狭窄症の手術にも応用しています。

神経を押し潰している余計な骨や靭帯を削り、狭窄した脊柱管を拡げると、潰れていた神経はまた膨らんできます。

全身麻酔での手術になります。 当日は安静ですが翌朝からは歩行可能です。 当院では余裕をもってリハビリを含めて約2週間の入院としています。

 

傷が小さいぶん痛みが軽く、早くからリハビリが出来ます。 筋肉への影響も極わずかで、スポーツや活動的な生活を望まれる方でも大丈夫です。 また出血も極少量ですから、高齢や合併症で我慢されていた方でも、体への負担が軽く手術ができます。

 

 

<頚椎の低侵襲手術>

 

木原式椎弓形成術(脊柱管拡大術)

 

脊柱管拡大術は、脊髄の通り道である脊柱管を拡げ、脊髄や神経根の圧迫を解除する手術です。

 

一般的な術式では、後ろから頭を支えている骨や靭帯を切除してしまうために、手術後長年にわたって首の痛みや肩こりを訴えられる患者さんが少なくありません。 このような患者さんの苦痛や負担を出来るだけ減らすために、5cm程の皮膚切開で筋肉や靭帯・骨を生理的な状態で温存する低侵襲手術を行っています。 手術時間は約2時間、出血は100cc程度で、傷の痛みも軽く、翌日には歩行が可能です。

 

図のような方法で頭を後ろから支えて動かしている骨や靭帯・筋肉を温存しています。 骨が癒合してしまえば、頚椎の運動機能は、手術前と変わらない状態で脊柱管が拡大されたことになります。

 

入院は2~3週間程度です。

骨は3~6ヶ月で完全に癒合しますので、それまでの間は首に過度の負担が掛からないよう注意が必要ですが、日常生活には差し支えありません。

 

 

頚椎椎間孔開大および後方ヘルニア摘出術

 

腰のヘルニアは後方(背中側)から摘出しますが、首のヘルニアは前方から摘出するのが一般的です。 その理由は、腰椎レベルには馬尾神経といって細い神経の束が入っていますが、頚椎レベルでは脊髄があります。 脊髄は脳と体の太い連絡線であり、少しの刺激でも手足が麻痺してしまうことがあります。 後方からでは脊髄の裏になりますので、頚椎のヘルニアは前方からの方が容易となる訳です。 しかしながら、前方からの場合は、頭を支えている部分の骨(椎体)を削らなければなりません。 当然、そのままではダメですから、削った部分は自分の骨を移植して固定します。 手術後は装具をはめて首を動かさないようにします。 骨が癒合して固定が完成するまでには約3ヶ月が必要です。 長期的にも、隣接椎間障害といって固定した上下の椎間でヘルニアや狭窄を起こしてしまう場合が少なくありません。 ヘルニアを摘出する為に、運動器としての機能を犠牲にしてしまうのです。

 

最近では、手術用顕微鏡やマイクロサージャリー技術の進歩に伴い、頚椎のヘルニアでも可能なものは後方から摘出するようになってきました。 摘出が困難な場合は後方の骨を削るだけ(椎間孔開大)でも十分に有効な成績が報告されています。 頚椎症性神経根症の方には特に有効です。

 

椎弓と椎弓の隙間を少しだけ拡げた穴(椎間孔開大)からヘルニアを摘出します。

手術の前は左の椎間孔(神経根の通り道)が右に比べて随分狭くなっていますが、後方の骨を一部削ることにより(椎間孔開大)により神経根は挟まれなくなります。

 

手術は1~2時間で、出血は少量、傷は3cm程度です。

骨と骨の隙間を少し拡げるだけなので、術後の首の固定は不要です。 脊柱管狭窄が併存している場合には、木原式椎弓形成術と併用して行っています。

適応は限られますが、前方法に比べて非常に低侵襲な手術です。